平成31年3月の歌会より

父の短歌一つも無いと言われも厳しさばかり寂しく浮かぶ  イタヤンマン

救急の待合室にピンポンとエレベーターの音のみ響く    まさこ

防潮堤先に黒鳥憩う朝蒲生干潟に葦牙の萌え        大須賀 章

春一番バス待つ人は襟たてて蹌踉ける足元タップのように  水すまし

背なの湯気煙草の煙と昇りゆく冬晴れの屋根雪かき一服   いつつばし

去年師走いぶかりながらキヌサヤを蒔きし一条の畝に春陽が 笹谷 逸朗

青空にスーッと伸びた緑の芽良かった生きてて梅の古木が  スナメリ

一羽だけ離れて遊ぶ白鳥が餌を求めて静かに近よる     縁寿

雨水の夕しとしと降れば傘の波駅の中へと吸い込まれゆく  小町

畑仕事あの娘想いて力出す胸まで熱き寒々の朝                          こうさくどん

発電所の煙たなびく風もなく真っ直ぐに立つ廃屋越しに   三星 ヒカル

 

平成31年2月の歌会より

柚子の香に湯上がりの肌潤いて喉越しの良さ至福のビール  水すまし

浜街道ハウスの実りいちご郷震災七年十一ヶ月       大須賀 章

カラオケで男四人がボケ防止色気は無いが絆は深い     イタヤンマン

寺小径立春の嵐治って杉の小枝をバリバリと踏む      まさこ

如月の固き地面を押し開けし蕗のつぼみに日差し柔らか   笹谷 逸朗

睡蓮の清らに揺らぐ泥底にわれ等が知らぬ秘密が動く    三星 ヒカル

寒風をものともせずに大空を隊列組んで白鳥北へ      スナメリ

如月の色なき風が万作の黄色を抜けて春にちかずく     小町

床の間に一輪飾った寒椿障子の外は静かに春が       縁寿

支えつつ支えられつつ腕組みて嫗二人は遮断機渡り     いつつばし

 

平成31年1月の歌会より

誕生日敬老乗車証をチャージする君の未来は十倍モード   大須賀 章

季節ごと咲いてくれるよ庭の花手入れをしてた亡母目に浮かぶ 

                            イタヤンマン

カピバラが柚子湯に浮かぶ画面見る我が家の煮物は一切れの柚子 小町

七草の粥の緑を口の中春のいぶきが体に萌える         縁寿

噛みしめし旨き鰰音のよさ善き年願い酒酌み交わし      水すまし

雪道に足跡残し何処行く孤独の街を野良猫一匹        いつつばし

吹雪いてるスキー場見れば滑ってる親子二人でダンスのように スナメリ

冬の日の雲なき空にカラカラと風に歌いし高き桐の実     まさこ

寒の下サヤエンドウが大地より若緑色に芽吹きはじめり    笹谷 逸朗