平成30年の作品

平成30年11月の歌会より

柿干しにカンテラ付けて変な人今年の数は幾つにしようか   スナメリ

羽ばたきもせずに悠々風に乗り我も生きたし大鷹のよう    いつつばし

秋日和三崎の海を望みつつ大根達は日向に並び        水すまし

キャンパスの秋空高し並び立つッメタセコイアの風雪はるか  笹谷 逸朗

五線譜に命吹き込むコンサート指よ伝えて私の心を      まさこ

ベートーヴェン変ホ長調「皇帝」にペンギンまでが姿勢を正す 大須賀 章

此の寒さ一夜で変る庭の木の黄色が映えるいろはの紅葉    縁寿

闘病の母に送りし手紙の束吾にもどりてきて二十三年     小町

 

平成30年10月の歌会より

シニアには楽しい麻雀いそいそと流行病か認知症防止よ    水すまし

旅終えし新幹線がとんで来たベランダ越しにはやてが見える  スナメリ

竹林を吟行六人其々に実方公の碑参り            大須賀 章

瓶底のワインは何故か味深く本を片手に一人飲み干し     いつつばし

旅の日と行く先までは妻が決め金と荷物は私の係り      イタヤンマン

満開の萩の小径を歩みたり金婚間近の花いちもんめ      まさこ

モスクワは既に晩秋黄葉の木々にしとしと降る鉛雨      笹谷 逸朗

年一度旅をしようと言う君にすかさず私は「おわら風の盆」  小町

見上げれば夜空を旅する流れ星次の停車はどの星だろか    縁寿

 

平成30年9月の歌会より

数珠のようチビッコ四人と若き母手繋ぎ墓の前に並びて    いつつばし

おしゃれして白杖持ちて姿勢良く歩く麗人コスモスも揺れ   まさこ

泣き虫と言われて更に大声で何とこの子は強情なのか     スナメリ

秋風と虫の音聞けばもの悲し人恋しくてメールしてみる    イタやンマン

犯罪が芸術に見える逃亡を続ける君の手記を読みたし     逸朗

その言葉笑いとばせぬ事もあるやっとおさえる我が腹の虫   小町

散歩道牧草地にてカモシカは飄然してアイコンタクト     大須賀 章

月青く窓を開ければ秋の風虫の音色を静かに愉しむ      縁寿

酷暑日は人の生き血を吸う蚊さえ気力無くして木陰に潜み   水すまし

 

平成30年8月の歌会より

星祭り七夕音頭波のよう吹き流しの下泳いで通り       水すまし

蝉時雨波濤の如く鳴き交わす百日紅燃え夏の饗宴       まさこ

ベビーカー中の二人は瓜二つ同じ顔して同じく笑う      イタヤンマン

原産地アンデスと知りあらためて支柱に絡むインゲン見上げ  笹谷 逸朗

願い込め一途に綴るこども達七夕竹に短冊揺れて       大須賀 章

台風の過ぎし朝には空眩し顔を背けて斑ら朝顔        いつつばし

風を見て一人楽しむ露天風呂おいしい瓜を頬張りながら    スナメリ

夏休み縁側で足ぶらぶらと友等と食べた真桑瓜甘く      小町

朝露に濡れて輝く朝顔の花の笑顔につい語りかけ       縁寿

 

平成30年7月の歌会より

生まれきて初めて海に戯れし父旅立ちた七才の夏        まさこ

湖水見て思い出すのは消えた村昔なつかしたつ子姫       スナメリ

山合いを華麗に埋めし百合一面心尽くしの香りに乗せて     水すまし

ヒナゲシは咲き広がれりこの丘の先に希望の郷(くに)あるという  笹谷逸郎

参道の奥から聞ゆ説法は諸行無常蝉の鳴き声          いつつばし

老いてなお異性を想う気持ちあり会えば感じる胸のトキメキ   イタヤンマン

猿山の猿さえ休むこの暑さロープの先に窓ふく職人       小町

ひんやりと体を冷やす青畳山宿ひとり蝉の声聞く        縁寿

ざんぶりと古希の手習いプール際フレッシュ感水中ウオーク   大須賀 晃

 

平成30年6月の歌会より

裏庭にほったらかした紫陽花も命つなぎて狂い咲きおり      水すまし

幼き日母を亡くした娘の想い青葉の風はそよぎて天に       まさこ

年一度男ばかりの遊び旅目が泳いでる混浴露天          イタヤンマン

雨の中健げに咲いた紫陽花の葉の上のたり蝸牛行く        スナメリ

窓抜ける風が捲りし新聞に郷の記事あり懐かし名あり       いつつばし

湖の辺に山あじさいの咲く見れば去年逝きし人まぶたに浮かぶ   笹谷 逸朗

「雨」のうた友はしっとり歌いたりあじさいの色のドレスをまとい 小町

雨上がり蛙を狙う青鷺が畦の草中じっと動かず          縁寿

 

平成30年5月の歌会より

古希過ぎて老化現象次々とこちら治ればとなりが痛む       イタヤンマン

養蚕の道営々と田麦俣 狭に構える茅葺の屋根              笹谷 逸朗

淡彩に塗り替えゆきて南風桜のあとを浅き緑に          いつつばし

緑濃いあの山のあたりが父母の墓逢いたいなあー初夏をむかえて   スナメリ

光射す朝の食卓萌黄色居間に漂う新茶の香り           水すまし

リズムよき傘の雨音聴きながら緑しみこむ朝に溶けなん      びひゃーな

ほととぎす鳴きて緑の風薫る渡り鳥にも眩しき季節        大須賀 章

「まだかしら?」秘めたる人に逢うように「ハンカチの花」訪ねる季節 まさこ

さわさわと五月(さつき)の風にあそばれて早苗の緑のういういしさよ  小町

春が行き一雨ごとに来る夏に陽射し遮る新緑涼し         縁寿

 

平成30年4月の歌会より

彼岸過ぎ立夏とみまごう暖かさ灯油売りの声霞に消えゆく    まさこ

残雪が残りし蔵王横目に見てバス旅楽し君も私も        スナメリ

浜松の野中町こそなつかしや少年の日の祝祭の町        びひゃーな

英語より道徳学び子供たち今どきの親マナーも知らず      イタヤンマン

抜かれまい大地を掴み抗いて除草の我に西洋タンポポ      いつつばし

春色を一つ身につけでかけんと桜色したマニキュアを塗る    小町

春風や墓参の寺を訪れて涙にかすむ叔母の面影         水すまし

青葉山かすみ桜の散りはじめ過ぎゆく春にひとり涙す      笹谷 逸朗

飼育の日ゴリラのゴンとカバのかぽ日がな一日人を観ている   大須賀 章

雪が解け水かさを増す春の川足元洗う水仙の花         縁寿

 

平成30年3月の歌会より

青春のときめき笑みに返りたり五十年後の梅香る日に      まさこ

我が体重株で云うなら高値かな売るか売らずか思案の為所    スナメリ

アラ ゲンキ折れた心を持てあまし彷徨った日々ハッと甦り  びひゃーな

廃屋の庭の古木に咲く梅や春を忘れず届けし香り        水すまし

袖通す父の紋付帯袴丈は合わねど悩む断捨離          いつつばし

梅の木は花も実もある渡来系よくぞ唐よりお越しまし来し    笹谷 逸郎

白梅は寒さに耐えて凛と咲く春の訪れ呼び込むように      イタヤンマン

夜の梅馥郁とした香り乗せ猫のミウ子の鼻腔くすぐる      大須賀 章

雪に耐え風に耐えたる古木には白梅の花ほろほろふくらむ    宮野 小町

蕗の薹三個の春に舌鼓掻き揚げもよし味噌もまたよし      縁寿

 

平成30年2月の歌会より

夕陽射す氷柱の雫の音見えて窓にほのかな灯り灯りぬ     びひゃーな

亡き人を偲ぶ心に毎朝の命のけむり灯すひととき       水すまし

氷柱落ち屋根一杯に凶器ありズドーンと一発竹槍のごと    スナメリ

不気味だな氷の微笑み何語る目は笑わずに冷たく光る     イタヤンマン

笑う子も歌う子寝る子箱車ひよこ組さん保育の散歩      いつつばし

結氷の川面にヒョコヒョコ尾をふってハクセキレイはロンリーダンス 笹谷 逸郎

路凍りペンギンの如く一列にランドセルの子等よちよち行く  小町 

   

平成30年1月の歌会より

歩む毎足に伝わるぬかるみは霜溶けた土春の伊吹きよ     まさこ

耳元に飲み過ぎないでボケないで亡母の口癖聞こえてくるよ  イタヤんマン

酒食めば天土グォーンとどよめきて手舞い足舞い春をことほぐ びひゃーな

路地の中朝日を浴びて山茶花の放つ愛しさステンドグラス   水すまし

皆と飲む旨し酒なり常温酒肴は河豚でチリ鍋も良し      スナメリ

いるだけで幸せなのにこの妻と喧嘩する僕愚かなことか    こうさくどん

親あらん妻や子あらん荒海に漁り出てゆく「北」の漁師よ   笹谷 逸朗

臆病なシルバーゴリラが俺を見る日溜まり嬉し冬の動物園   大須賀 章

眩しげに小春陽背にし棚引けるフェリーの煙シルクの如し   いつつばし

飲み過ぎの胃の腑にやさし七草の米の甘さよ塩の旨さよ    小町

七草の芹の歯ごたえ粥の中春待つ梅に陽ざしやわらか     縁寿